吹奏楽 マーチング ダンシング

パフォーマンスで、感動を共有できることは、、、幸せだ

連載 吹奏楽とロック 10

 

 

(今回のyoutube動画は、アニソン・ゲーソンに、したいと思う。。。)

 

 Dorothy - Gun In My Hand 

https://www.youtube.com/watch?v=8SGVRcJARxQ

 

 秀才のベースギターは、、、音質も音程もしっかりしていて、音を外すようなミスがないので、気持ちがいいものだった。 しかし、しばらく一緒に演奏をしているうちに、不思議なことに気がついた。

サックスと私のギターに、後からベースが入ってくると、急に、のんびりした感じにノリが変わってしまう。

低い音や太い音は、元々、のんびりしたイメージを持っている。
正に、ベースは低くて太い音であるから、、、最初は、そうなんだと受け入れていた。

普通、ドラムの音が鳴っていれば、『のんびり』には聞こえないんだろうから、まあ、問題ないのかとも思ったが。。。

しかし、、、さらに、秀才のベースを注意深く聞いているうちに、、、何となく、後ノリで弾いていること、、、そして微妙に、ふらついていることを気がついた。

問題点は分かったが、原因の見当がつかない。。。私は、、、この疑問を、練習日の翌日の、月曜の朝から考えていた。

やはり、メトロノームを使った練習をしてこなかったからなのか。。。

しかし、彼はレコードに合わせてレッスンをしている。それでは、だめなのだろうか。。。どこに問題があるのか。。。


この、自分では気がつかない、ふらつき。。。

私は、中学一年生の時の吹部を思い出していた。。

中一の私は、シンバルを担当していた。あの強烈な音がする『合わせシンバル』だ。

夏休み前に、三年生から問題点を指摘された。六月に入部したので、入ってから1カ月後のことである。

「皆が、いくら努力をしていても、お前の一発で台無しになってるぞ。バンド・サウンド全体をダメにしてる。」

私自身も、一曲の中で一回程度、わずかに、はずしてしまうことは気がついていた。

同じ一年生の相棒はバスドラだったが、、、

「お前は、肩の力が抜けてるな。。。」

相棒は、ほめられたと思ってニコニコしていたが、、、

「バスドラがフラフラしてるのに、お前は、リラックスしていられるんだな。。。だから、バンド全体の演奏がフラフラに聞こえるんだよ。」

この後のパート練習は、私と相棒の二人は手拍子でやることになった。

しばらく手拍子でやった後で、、、私の方は合っているということで、、、

「シンバルをコントロール出来ていないんだ。。。シンバルが体の一部になるまで反復練習をしなければだめだな。。。」と、個人練習の時間帯に、毎日、最低30分以上、シンバルを使った練習をすることになった。

相棒の方は、手拍子そのものがフラフラしているということで、、、

「毎日、スネアの基礎練習でメトロノームを使っているのに、それが、いかされてないんだな。リズムや強弱だけに意識がいってるんだね。。。 いいかっ!よく聞けよ。  ふらついたバスドラは、迷惑なだけだ。ふらついているくらいなら、音を出さないでくれた方がいい。音を出されたら、バンド全体がダメになる。。。」

相棒に出された処方箋は、、、メトロノームが鳴っている時には、気をゆるめないで、一打一打、正確に合わせるように、気合いを入れて集中する、、、という事だつた。

「バスドラは、他の楽器みたいに音程を気にしなくていいんだから、そのくらいの事は改善出来るだろう。」と、三年生は言っていたが、、、OKが出たのは、三ヶ月後の10月頃だった。緊張感をもって、連日、100日ちかく練習を継続していって、やっと、身に付けることが出来たということだ。

吹部では、、、いつも、緊張感がある。いつも、バンド全体に対する責任に追い立てられている。そこから、心が逃げようとすると、先輩が追いつめてくれる。『まっ、い~か。』などという、思いを持ったことは一度もなかった。

しかし、、、 秀才の場合は、練習環境が違うのだ。。。

バンド経験のない秀才は、、、責任感に追いつめられることもなく、弱点を指摘してくれる先輩達もいない。

彼は、レコードに合わせて、、、自分の演奏を、人前にさらすこともなく、のんびりと気ままにやってきた。。。意識することは、いつも、音程やリズムや音質であって、、、自分では意識できない、微妙なズレやふらつきを意識することはなかった。

この事をアドバイスするにしても、、、本人が、ふらついている意識はないのだから、、私が、ただ、事実を指摘したのでは、実感がわかないだろう。

ましてや、『生涯に渡って、影響してしまうかもしれない』という危機感は感じないだろう。。。大した事ではないと思ってしまうのだ。

私に、『音楽的権威』のようなものがあれば、はっきり指摘するだけでも済むのかもしれないが、、、実際に、私は彼の、ただの友達である。軽く聞き流されてしまいそうだし、、、深刻な問題なんだと強調したら、「お前、、、何様のつもりだ」と思われてしまいそうだし、、、サックスの彼と一緒に言ったら、まるでイジメてるみたいになるし。。。

まったく、ロック族は面倒くさい。。。

こういう場合は、、、ロックバンドでは、、、一度、言っても改善されない場合は、体よく見捨てるらしい。。そうするしかないのかもしれない。。。

考えた挙げ句、、、結局、、、私は、普通に、というか、自然に言うことにした。 が、、、私の心配は、取り越し苦労だった。秀才は、ほかのロック族とは違っていた。

率直に言ってみたら、、彼は、真摯に受け止めてくれたのだ!
 そして、どうすればいいのか聞かれたので、、、

「一人で、レコードと練習する時も、バンドの時もしっかり合わせる。後からついていくように合わせるんじゃなくて、自分が先頭をいくつもりで、、、いつも、そういう緊張感を持つ。」

この後、彼は、この事を、一所懸命に実践して、、この問題点は次第に改善されていった。

この時、私は、、、秀才が、なぜ、秀才であるのか、分かった気がした。。。 

 

 Gintama Opening 9

https://www.youtube.com/watch?v=-B3rpKfva1w


この年の夏休みは、楽しく過ごすことが出来た。

秀才とサックスが、ドラムとのアンサンブルに、なれる必要があると思い、、、私は、ドラムを購入した。

と言うか、、、私自身もドラムがほしかったのだ。。。

ギターアンプを買ってしまったので、お金が足りない。。。そこで、バスドラ・スネア・ハイハットとクラッシュシンバルを一枚だけ購入した。それだけなので、ある程度グレードの高いものを買うことが出来た。

そして、ファンクラブの一人が、簡単なサイドギターを弾けるようになったので、、、私は、リードギターを弾いたり、ドラムを叩いたり。。。

さらに、、、最近、急に歌がうまくなってきた奴が、ファンクラブの中にいたので、聞いてみたら、、、

「歌の先生に通っているんだ。。。ロックを歌えるようになりたいって言ったら、、、ロックは、声量がないと、、、マイクを使っても、バンドサウンドの中に埋もれてしまう。だから、声量とインパクトのある声質を身に付けれるようになりましょうって言われたよ。」

私は彼に、、、この機会にギターかキーボードの練習もするようにすすめた。彼も、地元の会社に就職する方針なので、一緒にロックをやりたいとの事だった。

彼は、、、「デカい声で歌えるようになったら、このバンドに入れてくれ。」

「一曲でも歌えるようになったら言ってくれ。デカい声でなくても練習を始めよう。」

そうは言ったものの、、、ボーカルアンプは、まだ、確保できていない。。。 ボーカルアンプとマイク・マイクスタンド・シールドコードの確保である。ボーカルマイクとスタンドは彼が買う予定だという事で、、、サックスも自分で、楽器用のマイクとスタンドを買うということになったが、、、

ボーカルアンプが確保できない場合は、、、最悪、、、私のバイトの給料で、6ヶ月後に買うしかない。

実際、、、ボーカルアンプは、4ヶ月後に私が買った。残金は楽器屋さんのローンで。。。

ボーカルアンプは、200wの本格的なものにした。

とにかく、、、練習バンドではあるが、メンバー的にも、器材の面でも、、、5人編成のロックバンドが、冬休みには稼働出来るようになった。

ただ、、、ドラムは、高校を卒業するまで、最小のセットのままだった。

冬休み中も楽しくやれたが、、、しだいに、練習場は寂しくなっていった。

メンバーの、一人ひとりは、練習にのめり込んでいったので、自分達は充実していたが、、、バンドを取り巻いていたファンクラブは、少しずつ遠のいていった。

やはり、練習は地味なのだ。

いつも、日曜日には、20人近くファンクラブが来て盛り上がっていたが、、、冬休みになると、次第に20人が、2人3人と減っていき、、、冬休みが終わるころは、3~5人くらいに減っていった。

地味な練習だから飽きてしまった。という事もあるが、、、 就職が決まった者、、、大学受験が目前に迫っている者、、、みんなが人生を考え、、、準備をする時期になり、意識の対象が変わっていったのだ。。。興味や暇つぶしで、ロックバンドと遊んでいる季節は終ったということだろう。

皆、3ヶ月後には、未知の人生が待っているのだ。 

 

 EGOISTIC HERO 岸田教団&THE明星ロケッツ

https://www.youtube.com/watch?v=k6Fn8MpjlaU

  

バンドのメンバーの中に、プロを目指すものは一人もいなかった。一人もいないのは意外かもしれないが、、、それは、現役のプロの話を聞く機会があったからだ。

9月に、、、私の、転校する前の高校の吹部の、、、私より二学年上のOBが二人、私の家を、突然、訪ねてきた。。。OB達は、トランペットとトロンボーンで、ジャズ指向の二人である。

二人とも、東京の同じジャズバンドに所属するプロである。

 用件は、、、私が、ロックバンドをやっていることを聞きつけて、、、もしも、私がロックドラムの腕を上げているなら、、、新しいジャンルである、ジャズロックのバンドの結成に誘おうと、はるばる、やって来たのだった。

残念ながら、、、私は、ほとんどドラムをやっていないということで、、、用件は、不発に終わってしまったが、、、この時、我が家のサロンで、バンドの皆が、プロの経験談を聞くことが出来たのだ。

この時代は、生演奏に価値のある時代だったので、ミュージシャンの仕事は多く、、、吹部出身者でも、、、全国レベルの手前までいっている実力があれば、会社員の二倍以上の収入は得ることが出来た。

しかし、OB達の話では、自分の好きな音楽では、生活が出来るだけの収入は得られないということだった。

実際、、、二人の所属しているジャズバンドでは、、、人前で、ジャズを演奏することは、まったく無いそうだ。いつも、歌の伴奏ばかりで、、、それも、ポップスや演歌などの流行歌の伴奏だけだそうだ。

彼らより、技術的なレベルの高いミュージシャンで、ジャズしかやらない人達がいるそうだが、、、ほとんど収入がなく、皆、副業をやっているそうだ。

特別な才能というか、、、突出した魅力がない限り、、、これが現実なのだ。

ロック全盛の時代だったので、ジャズの仕事が少なくなってしまったということだが、、、そのロックでさえも、、、人気のある、限られた、ごく少数のバンド以外は、、、ロックだけでは生活していくことのできる収入は得られないとのことだった。

結局、生活は確保した上で、、、好きなものを、趣味でやっていくことがベストであると、、、、私たちの、バンドのメンバーは納得したのであった。

『好きな音楽を趣味でやる』

この考え方は、全員が一致するものであって、この方向性で、私たちのバンドが進んでいけたら良かったのだが、、、物事というものは、思ったようには、ならないものらしい。

メンバーのほとんどが、4月には、東京に行ってしまうことになったのだ。みんな、地元に就職すると言っていたのに。。。

サックスは、地元の親戚の会社に決まっていたが、、、東京の営業所が、事実上の本社だったので、、、東京で三年くらい経験を積んでくることになったのだ。

ボーカルとサイドギターは、、、最初は、地元の就職を考えていたが、、、東京の方が条件の良いところが多く、、、最終的には、東京に出ることにした。

経済が急成長する時には、、、やはり、都会の方が、先に良くなっていくのだろう。

地元に残るのは、私と秀才だけだった。

二人とも、地元では大手と言っても良い、条件のいい会社に入ることが出来たのだ。二人ともに、有給休暇が、年に10日以上ある会社である。

この時は、、、就職しても、また、メンバーを集めて、ロックバンドを思い切りやれると思っていた。。。

 

攻殻機動隊 S.A.C 2nd GIG 「rise」   Origa 

https://www.youtube.com/watch?v=-rFW2Df5iRs

 

リズと青い鳥 第三楽章「愛ゆえの決断」

映画『リズと青い鳥』オリジナルサウンドトラック

https://www.youtube.com/watch?v=TBK418yxh0k