吹奏楽 マーチング ダンシング

パフォーマンスで、感動を共有できることは、、、幸せだ

連載 吹奏楽部 MEMORIES 2

五十年前の、我々が中学生の時代は、吹奏楽部の男女比率は同じぐらいで、木管は女子で金管が男子。 そして、打楽器も男子という編成が多かった。

まれに、ユーフォ(ユーフォニアム・ユーフォニューム)を女子が担当することもあったが。。。

 

 

新入部員は最初に、担当したいパートを第一希望から第三希望まで書かされる。

女子の第一希望は、キンキラキンのサックスパートか、乙女チックなフルートパートがほとんどだった。

 

だから、クラ(クラリネット)担当・ユーフォ担当の女子のほとんどが、第二希望か第三希望に落とされた子であった。

 

普通は、一年生の4月に担当パートが決まるとそのまま最後まで変えることができない。

だから、つらい思いで一年生の4月をスタートする子もいるということだ。

 

吹奏楽部にとっては、時間的な余裕がない。

三年生を主力と考えても、一年半で一人前にならなければならない。

 

我が吹奏楽部の歴代部長は、すべて女子で、すべてクラかユーフォの担当者だった。 すべてが、希望落ちの女子なのだ。 苦労している子の方が人望厚く育つのだろうか。

 

【音大卒が教える】吹奏楽、楽器の紹介と特徴。ギネスにのってる世界一難しい楽器はどれだ!?

https://www.youtube.com/watch?v=hbrjrg_qqK4

 

 

 二年生の4月の最初の練習日、この女子部長から、全員召集がかかった。

 

パート練習を中止して、音楽室に急いだ。

「なんだろう?」

「年度が変わったからじゃねーの」

二年生と話しても、納得のいく答えは返ってこない。

 

三年生の女子に聞くと。「開けてびっくり、玉手箱!」

近くの三年男子が「おれも、去年の4月。。。びっくりしたよ。。。」

 

「どういうことですか?」

「行けば分かるよ」

 

全員がそろうと、部長が筒から厚紙を出した。

  

部長は、厚紙を広げて読み始めた。

「一度しか言わないので、しっかり聞いて、しっかり理解してください。」

 

部長は、書いあるとおりに読んでいるらしい。

 

「4月になったので、新入生が入学してきます。そして、私たちの吹奏楽部にも入部してきます。

この新入部員達は、私たちの吹奏楽部の宝です。

音楽的にも人間的にも成長できるように、皆で力を合わせて努力しましょう。

 

もしも、この努力が出来なかったら、私たちの吹奏楽部に未来はありません。

 

今、話していることは、秘密の口伝です。口外してはいけません。

 

新入部員は宝です。宝は大切に磨いて、輝くようにしてあげましょう。

 

一年生は宝です。以上!」

 

二年生は、しばらく無言だった。

三年生がひとり二人と音楽室の出口に向かって歩き始めた。

 

頭の回転の速い女子達は、三年生を追いかけて、お礼を言ったり、あやまったりしている。

 

私は、理解をするのに時間がかかってしまい、パート練習が始まってから、、、

「いままで、生意気なことを言ったりして、すみませんでした。」

「いいよ、いいよ、もうお前は2年だから、宝じゃねーから、どーでもいいよ。」

先輩は、照れ臭そうだった。

 

でも、紙に書いたものを読んでるのに、口伝というのは変な話だ。 部長は、カンニングをしていたということだ。 3年生の言うのには、去年の部長も読んでいたそうだ。

 

部長から、つぎの部長へカンニングペーパーが伝承されているということだ。

 

フックト・オン・ボレロ(楽器紹介編)

https://www.youtube.com/watch?v=QI1Y-SVBFhw

 

 

二年生の冬になった。 これからは、我々二年生が主力になる。

 

新部長は、、、 やはり、第三希望落ちのクラ担当の女子!

我が吹奏楽部において、例外はないみたいだ。 パーフェクトである。

例のカンニングペーパーも伝承されたことだろう。

 

部長の権限は強力だ! 意見は一応聞くが、決定するときは一人ですべてを決定する。

早速、私は指揮者として『決定』された。

コンクールの二曲は、顧問の先生が指揮をとるが、ほかはすべて私の責任になる。

 

しかし、パレードではパーカッションが人手不足になるので、ドラムメジャーを部長にお願いした。 そして、私は古巣のパーカッションでスネア(スネアドラム・小太鼓)を。。。

 

パレード練習では全員が、ドラムメジャーである部長の指示で動くのだが、、、

これがまた、いやになるほど皆がきっちりと、部長の指示通りに動く。

 

私がステージマーチの指揮で、いつも言うことを聞かせるのに苦労している野郎どもも、しつけの良い犬っころみたいに言いなりだ。

 

部長と私の、人間力の違いをまざまざと見せつけられた。

 

 

私たちが卒業した数年後、『秘密の口伝』は、良い事だということで、公開されて生徒会の方針となったそうだ。

当然、一年生の知るところとなってしまった。

 

そして、その数年後には、そんなものが有ったのか、無かったのか分からないような状態になって、消えて無くなってしまったそうだ。

 

 『秘密』だから、、、いつも、頭の隅に置いて大切にしてくものだと思う。

それが、秘密ではなくなったとたんに、ふわふわと漂って、そして、蒸発してしまった。

 

それから、半世紀たっている。。。

 

がっ、しかし、、、 

我が吹奏楽部の中では、今でも、、、

『宝の精神』が伝承されているものと信じている。

 

【演奏動画】WSL-18-023 楽器紹介のための ミッキーマウス・マーチ(大編成版)

https://www.youtube.com/watch?v=r8SylCDDkhM

 

 

当時、一年生が、最初に練習した曲。

 

北宇治吹奏楽部が初めから海兵隊を吹けた場合の滝先生が鬼畜過ぎる件

https://www.youtube.com/watch?v=9qWIle_5miY